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第28節 立川・府中アスレティックFC戦マッチレポート「星龍太の復帰戦」

2019.12.12

コラム

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名古屋オーシャンズ

12月8日(日)、Fリーグ2019/2020 ディビジョン1 第28節が武田テバオーシャンアリーナで行われ、名古屋オーシャンズは立川・府中アスレティックFCに5−1で勝利した。

大黒柱がもたらすチームへの安心感


「立ち上がりに決めていれば、もっと楽な試合になったと思います。でも、全体を通して危なげなく試合を進められました。(長時間ピッチに立つことになったが)自分でもこんなに出るとは思わなかったです。(久しぶりの試合でスタミナ的に)キツかったですね」(星龍太)

星龍太は、8月の試合で「右膝内側側副靭帯損傷」と「脛骨・大腿骨骨挫」の大ケガを負ってしまった。約3カ月半、14試合ぶりの実戦復帰となったが、この日は日本代表組が直前までスペイン遠征で離れていたこともあり、離脱前と同様かそれ以上に長時間ピッチに立つことになった。しかし、パフォーマンスに不安を残すことはなく、古巣である立川・府中を相手に、キッチリと仕事をやってのけた。



立川・府中は今シーズン、11勝5分11敗と中位に沈んでいるものの、オーシャンズに対抗するフィジカルと実力を持つチーム。今年3月の全日本選手権でも決勝に勝ち進んでくるなど、これまで何度もオーシャンズの前に立ちはだかってきた。しかし星龍太が戻ったオーシャンズは、いつものように、彼らをねじ伏せた。

前半12分、カウンターで中央を走った吉川智貴が、左の星翔太からのパスに詰めて先制すると、16分には八木聖人がゴール正面で相手GKをかわして追加点。アジア年間最優秀選手賞を獲得した吉川と、スペイン遠征から帰国したばかりの八木という、2人の日本代表選手が、この日のオーシャンズをけん引した。



後半もオーシャンズが主導権を握り続ける。24分、左サイドで受けた吉川が相手をいなしながら中央にパスを送ると、右サイドから中に入ってきたペピータが冷静にネットを揺らして3点目。さらに29分、星翔太がハイプレスでボールを奪って、そのままゴールへ蹴り込んでリードを4点に広げることに成功した。

試合を決定的なものにしていたオーシャンズだが、31分にアクシデントが起きてしまう。相手選手に対して強めにタックルにいったラファが、この日2枚目のイエローカードで退場。オーシャンズはそこから2分、フィールドプレーヤー3人で戦うことになってしまった。ピッチに立ったのは安藤良平、星翔太、吉川。この数的不利な場面、普通であれば失点を覚悟しなければならないだろう。しかも、簡単に得点を許してしまえば、相手に勢いに乗られてしまう。だが、この大ピンチで、オーシャンズの底力が発揮された。

防戦一方になるどころかむしろ、ボールを奪うと3人でボールを回していき、時にはスペースへと運ぶドリブルで時間を稼いでいく。ヒヤリとする場面もあったが、そこは守護神・篠田龍馬がビックセーブを連発。相手にゴールを与えることなく2分が経過した。ピッチには星龍太、ペピータ、西谷良介、八木。試合は再び、オーシャンズが支配する安定した展開になっていた。



33分、右サイドのコーナーキックの浮き球をペピータがボレーで決めて5-0とダメ押した。残り2分半で相手がパワープレーを始めると、38分に連係ミスから失点したものの、与えたゴールは一度だけ。

「全体的な出来はよかった。悔しい部分はありましたが、修正して次の試合に向けてやっていく」(篠田)

篠田にとって今シーズン初めての完封勝利こそ逃したものの、チームとしては上々のゲームだった。特に顕著だったのは、守備力だろう。星龍太が不在の間、安藤、笠井大輝、吉川がフィクソを担い、その穴を感じさせることはなかった。それでもやはり、大黒柱がもたらすチームへの安心感は絶大だ。

「攻守両面において欠かせない選手。龍太さんの復帰はチームにとってすごく大きい」(篠田)

圧倒的な攻撃力と、守備のさらなる安定。難敵をものともしない、まさに盤石の勝利だった。

次節、15日(日)にホームで行われるエスポラーダ北海道戦で勝利すれば、オーシャンズのリーグ1位が確定。「プレーオフまでには完全にしたい」と、星龍太はさらにコンディションを戻していくだろう。オーシャンズの至上命題であるリーグ3連覇達成のときが、いよいよ近づいている。

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