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第7節 フウガドールすみだ戦マッチレポート「1試合最多得点記録を更新」

2019.07.05

コラム

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名古屋オーシャンズ

各チーム2試合を消化する共同開催名古屋ラウンドのなかで、もっとも接戦が予想されていた好カードは、終わってみれば誰も予想できないような、ある意味では「ものすごい」ゲームとなった。

6月30日(日)、Fリーグ2019/2020ディビジョン1 第7節、 名古屋オーシャンズのホーム・武田テバオーシャンアリーナで行われたフウガドールすみだ戦は、15-2でオーシャンズが“爆勝”した。

2012シーズンにバルドラール浦安が(2012年12月8日 第21節 ○浦安 13-8 湘南)、2018シーズンにシュライカー大阪が(2018年10月7日 第16節 ○大阪 13-3 北海道)マークしていた1試合最多13得点を更新する「1試合最多15得点」の新記録を樹立した。なお、1試合の最大得点差「13」も新記録となった。

2分に1ゴールが生まれる超ハイペース


誰も予想できない15ゴールを挙げたこの試合、最初の得点は7分27秒だった。ペピータが放ったミドルシュートのこぼれ球に反応した平田ネトアントニオマサノリが押し込んでオーシャンズが先制点をゲット。試合は残り32分。ここから約2分に1点計算の超ハイペースでオーシャンズはゴールネットを揺らし続けた。



8分21秒、高い位置でのキックインのチャンスから、オーシャンズのサインプレーが見事にハマって、ラファがフィニッシュ。直後の8分48秒、今度はハーフウェー付近でボールを奪ったヴァルチーニョが、西谷良介とのの連係からゴールを奪取。さらに10分にラファ、13分にペピータが、そろぞれサイドネットへの正確無比のシュートを突き刺して、前半を5-0として試合を折り返した。

「選手たちは点を決めても0-0という気持ちで最後までやり切ってくれた」(フエンテス監督)

試合後にフエンテス監督が振り返ったように、オーシャンズの強度は最後まで落ちなかった。

20分、ペナルティーエリアの右外でパスを受けたラファが相手選手を引きつけ、最後は中央の西谷が決めて、後半のゴールラッシュの口火を切った。22分には、中央で“戦車のような”突破を見せたヴァルチーニョが、左CKからの浮き球をダイレクトでドンピシャで合わせた星龍太がそれぞれ決めて、26分には、右サイドで抜け出したペピータが決めて、リードを9点差まで広げてみせた。

その直後、この試合で初めて失点してしまうが、オーシャンズの勢いは止まらない。

33分には、左サイドでキープしたヴァルチーニョが中央へのカットインから、36分には、ペピータがカウンターで中央を持ち込んで、最後は左の吉川に合わせて、11-1という圧倒的な展開に持ち込んだ。

その後、すみだのパワープレーから36分に1失点したものの、オーシャンズが相手にネットを揺らされたのはここまでだった。38分には、星翔太がパワープレー返しから2ゴールを決めて13-2。これで、Fリーグ史上、1試合最多得点タイ記録に並ぶと、新記録は橋本優也のゴールによってもたらされた。

残り43秒、相手ボールを奪った橋本が自陣から相手の無人ゴールに正確なシュートを決めてみせた。そして、オーシャンズの「ゴールショー」を締めくくったのは笠井大輝。残り29秒、自陣左でボールを奪うと、橋本との連係から抜け出して、最後は自らフィニッシュ。これがトップ昇格後の初ゴールとなった。



「点が入って流れを作れることで、選手たちも自信がよりついた。逆に相手は、流れが作れないなかで、より自信を失っていきました」(フエンテス監督)

上述のように、2012年の浦安と2018年の大阪が持っていた13点の1試合最多得点記録、2018年に大阪が打ち立てた12点差の1試合最多得点差を同時に更新する試合となった。相手のプライドと戦意を奪い、完膚なきまでにたたきのめしたという点で、オーシャンズにとってポジティブなものだった。

一方で、ここまで得点差が開いてしまうことは、トップリーグの質を問う意味では疑問符もつく。

「(最多記録を)更新できたことは良かった。でもうれしさの反面、どうなのかなという気持ち」(吉川)

吉川が話した「どうなのかな」という部分もまた、選手の本音に違いない。強烈なライバルがいて、その相手をねじ伏せるなかで、オーシャンズも、相手もレベルアップしていく──。それが、日本フットサルが世界の舞台で活躍できるようになるために必ず必要な、トップリーグの競争原理だからだ。

15-2。素直に喜ぶべきものなのか。ただ1点、確実に言えるのは、オーシャンズはどんな相手でも、どんな状況でも、「ゴール」という目に見える形で、勝利を手繰り寄せられるチームだ、ということだろう。
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