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第17節 ヴォスクオーレ仙台戦マッチレポート「One for all, all for one」

2019.09.11

コラム

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名古屋オーシャンズ

9月8日(日)、小田原アリーナで行われたFリーグ2019/2020ディビジョン1の第17節、名古屋オーシャンズはヴォスクオーレ仙台に4-0で勝利した。

“ピヴォ安藤”という発見


この勝利が持つ意味は、思った以上に大きい。

4-0という結果だけを見た人は、「オーシャンズが順当に勝ったんだ」と思うかもしれない。確かに4得点、完封ではあったものの、スコアほど簡単な試合ではなかった。

前日のバルドラール浦安戦で警告を受けたラファとヴァルチーニョのピヴォ2人が出場停止。AFCクラブ選手権を最後に平田ネトアントニオマサノリがポルトガルへ飛び立った。

仙台戦のスタートリストには、ピヴォをメインポジションとする選手は星翔太しかいなかった。なおかつ、ケガ明けでベストコンディションとは言えない状態で、前日の浦安戦の出場時間はわずかだった。

長いシーズンであれば、ケガや出場停止でベストメンバーを組めないことはある。今回の仙台戦は1シーズンに何回か訪れる、そんな日だった。もしも落とせば、首位のバサジィ大分との勝ち点差が開いてしまう。

果たして、オーシャンズは、どう戦うのか──。

この日、フエンテス監督がとった戦略は、星翔太に加えて安藤良平をピヴォとして起用するというものだった。安藤はゴレイロ以外なら、すべてのポジションができる超オールラウンダーだ。



かつて、日本代表で共にプレーした佐藤亮(現シュライカー大阪コーチ)が「安藤みたいな選手がチームにいると本当に助かる。どんな監督でもほしい選手だと思う」と言っていたことがある。

ピヴォはゴールに背中を向けて、相手に後ろから当たられるため、特別な能力が求められる。それでも、本職のピヴォのように平然とこなしてみせるのが、安藤のすごさだ。

就任1年目のフエンテス監督にとっても、“ピヴォ安藤”は一つの発見になったようだ。

「戦術的には、ピヴォの(星)翔太が休憩するところで安藤がピヴォに入りました。すごく当たったと思います。ピヴォとしても、安藤のパフォーマンスは非常によく、それを見れてよかったと思います」

それでも、高い位置からプレスをかけてくる仙台に対し、オーシャンズは思うように試合を運べなかった。1発のあるラファやヴァルチーニョがいない影響がなかったとは言えない。

こう着状態を破ったのは昨日の浦安戦で目の覚めるようなシュートを決めた橋本優也だった。前半9分、左サイドのライン側で、吉川智貴からのパスを受けると、ファーストタッチで寄せてきた相手をかわす。GKとの1対1を決めて、先制点をもたらした。

1-0で折り返した後半も、オーシャンズにとって苦しい時間が続く。仙台は「40分間ずっと前からプレスをかけ続けようと話していた」(清水誠監督)。そのプレスをかわすことができず、ボールをロストする場面も多かった。

それでも後半の6分、相手の中途半端なクリアを西谷良介が拾うと、星翔太を経由して、最後はペピータ。ちょっとしたミスを見逃さず、しっかりと得点につなげる──。オーシャンズの勝負強さ、したたかさが発揮された2点目だった。



その後、仙台はパワープレーを開始してきた。残り2分で安藤、そして残り1分を切ったところで星翔太と、この日ピヴォとして前線で体を張り続けてきた2人のパワープレー返しで4-0。

「自分たちで、自分たちの首を締めてしまったところはあると思います。もう少し、ゲームをコントロールできればよかったですが、試合を通して0点で抑えられたのはポジティブな面です。課題はありましたけど、このまま続けて、来週の試合に向けて、しっかり練習していければと思います」

キャプテンの吉川は安堵の表情を浮かべた。

今週末は、AFCクラブ選手権の関係で未消化だった第13節の湘南ベルマーレ戦を14日に、その翌日にはバサジィ大分との第15節との首位決戦を迎える。頂点を掴み取るために、タフな戦いが続く。

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