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第24節 ボアルース長野戦マッチレポート「圧勝して反省するゲーム」

2019.11.12

コラム

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名古屋オーシャンズ

11月9日(土)、武田テバオーシャンアリーナで行われた共同開催名古屋ラウンドの初戦、Fリーグ2019/2020 ディビジョン1 第24節で、名古屋オーシャンズはボアルース長野に10-3で大勝した。

中押しができずに反撃を許した


「この試合だけが私たちの目標ではないですから、選手にしっかりとプレーしてもらうために目的を明確にして、相手をリスペクトして100パーセントでやらなければいけないという考えでした」

勝利が絶対的な目的でありつつも、何よりも大切なのは、その先にあるリーグ制覇。そのためには、“意味のある勝利”を挙げないことには価値がない。そんなオーシャンズのプライドが感じられる一戦だった。

開始直後、相手陣内の左サイドでキックインを獲得したオーシャンズは、吉川智貴からのパスを中央のラファ が左足で決めて、わずか36秒で先制に成功した。続く1分、左サイドでボールを奪取したヴァルチーニョが起点となって、ラファ、吉川が絡みながら最後は再びヴァルチーニョが決めて2点目。さらに3分、右CKから逆サイドに振られた浮き球を安藤良平がボレーし、右ポストに弾かれたボールを中央のラファがシュートパス。左ポスト際のヴァルチーニョがコースを変えて3点目をゲットした。

セットを交代したオーシャンズは5分、右サイドで水谷颯真とパラレラの連係を見せた星翔太が左隅に流し込んで4点目。続く6分、左キックインから水谷が左足で決めて5点目。早々に試合を決めてみせた。長野との対戦は今シーズン3回目、6月の1巡目は8-1、8月の2巡目は10-1。実力の違いは明確だが、決して手を緩めるつもりはない──。そんなメッセージが、立ち上がりのゴールラッシュには込められていた。



しかしオーシャンズはその後、追加点を挙げられない時間が続いた。それどころか逆に、5-0のまま迎えた後半の立ち上がり、21分に失点。左サイドで安藤がボールを奪われてショートカウンターからゴールを許した。25分には相手の主力選手が2枚目の警告で退場したが、数的有利となった2分間でもゴールを奪えない。

相手FPが戻った27分にヴァルチーニョがハットトリックを達成するゴールを決めたが、直後にまたしても失点。左サイドを突破されてファー詰めで奪われたゴールは、守備を崩された場面でもあった。

オーシャンズはその後、29分にカウンターから八木聖人、橋本優也、星翔太とつなげて追加点を奪うと、33分にはカウンターで中央を独走したヴァルチーニョが決めて8-2とした。点差は決定的なものだったが、オーシャンズはまだ、相手の息の根を止めることはできていなかった。

39分、右FKから決められて3失点目を喫してしまう。直後に、カウンターから右の笠井大輝が決め、残り1秒、橋本のシュートが弾かれたところを八木が頭で決めて10-3。八木にとっては、10月末の愛娘の誕生を自ら祝うゴールで試合を締めくくった。ただし、この大勝を手放しで喜ぶ選手は、誰もいなかった。



最後の最後まで、相手に隙を与えてしまったこと。長野とオーシャンズの環境を考えれば、3巡目は、これまで以上にその差を示して勝つことが、彼らの宿命でもある。その意味で、過去2回の対戦以上の結果を残せなかったことは、決して満足のいくものではなかったと言える。

プレーオフ、そしてリーグ制覇を見据えるなかで、足下をすくわれないためには、先制、中押し、ダメ押しのすべてが必要になってくる。その点でこの試合は、中押しができなかった。

得点ランキングを独走するヴァルチーニョの4得点、水谷、笠井、八木ら、6人で10得点と多くの得点パターンを出せたこと、終始アグレッシブに攻守を主導できたことなど、「攻撃でも守備でも常にゴールを目指すプレーができた」(フエンテス監督)ことは間違いないが、オーシャンズの目標はやはり、この試合の勝ち点3ではないだろう。

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