INSIDE OCEANS

誰よりもゴールに貪欲で、情に厚い男・ペピータ。強面な彼の知られざる素顔。

2020.06.17

コラム

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名古屋オーシャンズ

昨シーズン、FリーグでMVPを獲得したペピータの“3年目のシーズン”が始まろうとしている。

2017年3月、王座奪還のため、名古屋オーシャンズにブラジルの名門クラブ・コリンチャンスから元セレソン選手が加入した。

5月18日。迎えたリーグ開幕前の最初の公式戦、オーシャンカップ1回戦でペピータが初めて公の場でピッチに立った。

だが、開始早々に負傷交代。それ以降ピッチに立つことはなく、試合が終わるころには車椅子に腰掛けていた。誰が見ても重傷だということが分かった。

大会後、クラブから左膝前十字靭帯断裂とリリースがあり、手術とリハビリを経て全治に6カ月要することが判明。6月のホーム開幕戦でヴァルチーニョとルイジーニョの加入がお披露目され、外国人枠は埋まったことで事実上、ペピータの1年目は終わった。

ゴールへ向かう姿勢はブラジル人選手も一目を置く


ブラジルでリハビリ生活を送っていたペピータは11月に再来日。リハビリの一環としてサテライトの選手として公式戦にも出場した。

「試合の感覚を戻すためにサテライトの時間は大事でしたし、すごく優雅な時間でした。サテライトでの日々は復帰するのに自分の力にもなりました」

ピッチに戻ってこれたとはいえ、やはりトップチームの試合に出場したいものだ。当時、入場ゲートの端からウォーミングアップをしているトップ選手の様子をどこか羨ましそうに見つめていたのが印象的だった。

「忍耐力がすごく必要な時期ではありましたね。ですが、ブラジルでプレーしていたときも一度、大きなケガを経験したことがありました。ちゃんとリハビリをすればむしろ強く戻ってこれるということは確信していたので、その通り、より強くなって戻って来れたと思っています」

だが、3月の全日本選手権でラファが全治1年のケガをし、入れ替わるようにして復帰した。

ラファがケガをした日の夜、宿泊先のホテルで「今は悔しいはずだけど、焦らず目の前のやれることを少しずつやっていくしかないよ」と自分自身の経験を伝えた。

同じ苦しみを知っているからこそ、ペピータはラファの想いも背負ってピッチに立った。

オーシャンカップで早速結果を残すと、1年越しのFリーグデビュ戦でもゴールを奪った。残りの32節でも、屈強なフィジカルとシュート力を武器に計24得点を決めた。

ペピータのゴールへの執着心は、同じブラジル人選手も一目を置く。

「フィニッシャーとしての意識はリーグでも一番高いと思います」(ヴァルチーニョ)

「ペピータが積極的にゴールを狙うことで、マークを引きつけることができるので他の選手がゴールを奪うきっかけになっているんです。その姿勢こそが大きな強みですね」(ルイジーニョ)

実際に、Fリーグでプレーした2シーズンのシュート数はそれぞれ200本越え。リーグで誰よりもシュートを打ってきた。

「チームでの役割がはっきりしていて、その強みでチームに貢献できるようにしています。僕が持っているパワーや個人技をチームのために生かせるようにしていますし、ゴールを意識してプレーするというのは今までもしてきたことですからね」

接戦になったシュライカー大阪との2018/2019シーズンのプレーオフでも優勝を手繰り寄せるゴールを決め、復帰1年目とは思えない活躍ぶりだった。

さらに、翌2019/2020シーズンでは重要な場面で自らの役割を全うし、オーシャンズによりなくてはならない存在となった。

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