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名古屋オーシャンズ
荒牧太郎と星翔太は、およそ10年前から、同じような道のりを歩んできた。FUGA MEGURO(現フウガドールすみだ)で本格的にフットサルに打ち込み、日々、切磋琢磨しながら、ときにブラジル修行に打ち込み、2009年の全日本選手権では、今もなお伝説として語り継がれる「奇跡の優勝」を果たした。
その後、鳴り物入りでバルドラール浦安に加入してFリーグを経験した後、1年後に星が、次の年に荒牧が、スペインへと渡った。海外挑戦を終えて浦安に復帰してから、彼らは再び一緒にプレーを続けてきた。
星は前線で起点となり、勝負を決められるピヴォとして、荒牧は後ろから守備とゲームメークでチームを支えるフィクソとして、ピッチ内外でチームをけん引するベテラン選手へと成長を遂げた。2人がポジション以外で唯一異なっていたのは、星は日本代表に選ばれ続けたが、荒牧は海外遠征止まりだったということ。
ただし、それぞれの境遇で学び得たものを共有して、昇華しながら2人で1本の道を進んできた。
しかし2018年、彼らの前に分岐点が現れる。偶然か必然か、彼らは浦安からの移籍という道を選んだ。
星は名古屋オーシャンズへ、荒牧はヴォスクオーレ仙台へ。
別々の道を歩き出した2人はその後、どんな景色を見てきたのだろうか。
彼らはもはや、ただ敵同士のライバルでも、同じクラブでプレーしてきた元チームメートでも、ただ仲がいいだけの親友でも、もちろん家族でもない。もはやそういった言葉を超えた、感覚的に通じ合う関係かもしれない。
2人の出会いと進んできた道のり、分岐後の2年間、そのすべてをさらけ出してもらった。
■前編はこちら
──それぞれが得たものを2人分の容量で共有して、そこからいいものを探っていく。星さんと荒牧さんは2人で1人みたいな関係でずっとやってきたような印象を受けます。
荒牧 でも翔太の方が、代表の先輩やミゲルやコーチ陣からの情報量が多かった。僕は提供できるものが多くはなかったから、シェアしてもらっている感じでしたね。
──でも星さんとしても、荒牧さんの視点が大事だったわけですよね。
星 やっぱり、ポジションが違うから視点や見えているものが違う。ピヴォは、自分がボールを持っているわけじゃないし、後ろの選手が見ていてくれないと絶対に生きないですから。アクションを起こしても、味方ありきじゃないと何もできない。その点で太郎は、大枠のところで一緒だった。自分をよりよくしていきたいし、突き詰めていきたいし、フットサル界をよくしていきたい。それに何よりも、よりよくするためには勝たなければいけないし、プロに進んでいかないといけないというマインド。その考えがすべて合っていた。僕はどちらかというと細かいところを話すんですけど、太郎はしっかりと大筋や本質的なところを話せる。そういうところも含めて、お互いに助けになっているのかなと。
──2人は、性格的にも似ているんですか?
荒牧 似ているところと似てないところがあるなと。考え方は似ているけどアプローチが違うかも。
星 タイプは違うし、伝え方が違うよね。僕の方がより細かいところで、太郎は全体のところ。僕は目の前の相手を見てまずこうしないといけないとか、相手がこうなったらこうしないといけないとか、裏を取ろうとして相手が付いてきたから止まるよねってところ。でも太郎はもっと、ポジショニングの話をするとかね。
荒牧 そこはまあ、ポジションが違うからね。ゴレイロからボールをもらって、前線でフェイクしているからっていきなりそこに出せるわけじゃない。その翔太の動きを見て、タイミングを見て出さないといけない。前でいろいろやっていても、いや後ろでもまだいろいろやっているからってことがあるし。でも、いろいろやりすぎて大事なものを見失っているなら、シンプルに攻撃方向を見ようとかね。
──その意味では、ポジションは性格による適正があったりしますか?
荒牧 そうかも。でも、それこそブラジルに行って、最初にバカみたいに振る舞うのが僕で、それを見ていて、あいつは嫌なやつかもしれないなとか、こいつはいいやつだなとかをちゃんと見極めて、そういう人と関係を築いていくのが翔太。その辺の性格も違う。
──荒牧さんはピッチでは後ろから見たり、まとめるのが得意ですよね。
荒牧 その印象からすると、ノリでバカみたいになる姿は想像できないですよね。でも、ピッチの中と外では全然違う。飲み会とかでは、圧倒的に翔太よりも前線の選手だから(笑)。
星 そうそう。
荒牧 そのとき翔太は、その場にいる偉い人ときちっと2人で話をしていたり。大人数でカラオケを歌っているのは僕。ピッチの中とはまるで逆ですね。
──2人はケンカとかはしないんですか?
荒牧 ケンカはないね。
星 ないね。冷静に話すよね。太郎がイライラしていたら「太郎、こういうふうに変えてみたら?」とか「盛り上げる系にしようよ」とか。太郎もそれで、冷静に返事をしてくれる。
荒牧 逆に翔太がハーフタイムとかにイライラしていたら、全く逆の意見を言ったりして。でも、それに対して何でだよってことを言われたことはないよね。
その後、鳴り物入りでバルドラール浦安に加入してFリーグを経験した後、1年後に星が、次の年に荒牧が、スペインへと渡った。海外挑戦を終えて浦安に復帰してから、彼らは再び一緒にプレーを続けてきた。
星は前線で起点となり、勝負を決められるピヴォとして、荒牧は後ろから守備とゲームメークでチームを支えるフィクソとして、ピッチ内外でチームをけん引するベテラン選手へと成長を遂げた。2人がポジション以外で唯一異なっていたのは、星は日本代表に選ばれ続けたが、荒牧は海外遠征止まりだったということ。
ただし、それぞれの境遇で学び得たものを共有して、昇華しながら2人で1本の道を進んできた。
しかし2018年、彼らの前に分岐点が現れる。偶然か必然か、彼らは浦安からの移籍という道を選んだ。
星は名古屋オーシャンズへ、荒牧はヴォスクオーレ仙台へ。
別々の道を歩き出した2人はその後、どんな景色を見てきたのだろうか。
彼らはもはや、ただ敵同士のライバルでも、同じクラブでプレーしてきた元チームメートでも、ただ仲がいいだけの親友でも、もちろん家族でもない。もはやそういった言葉を超えた、感覚的に通じ合う関係かもしれない。
2人の出会いと進んできた道のり、分岐後の2年間、そのすべてをさらけ出してもらった。
■前編はこちら
「実は仲が悪いんじゃないか説」を笑い話にしていた
──それぞれが得たものを2人分の容量で共有して、そこからいいものを探っていく。星さんと荒牧さんは2人で1人みたいな関係でずっとやってきたような印象を受けます。
荒牧 でも翔太の方が、代表の先輩やミゲルやコーチ陣からの情報量が多かった。僕は提供できるものが多くはなかったから、シェアしてもらっている感じでしたね。
──でも星さんとしても、荒牧さんの視点が大事だったわけですよね。
星 やっぱり、ポジションが違うから視点や見えているものが違う。ピヴォは、自分がボールを持っているわけじゃないし、後ろの選手が見ていてくれないと絶対に生きないですから。アクションを起こしても、味方ありきじゃないと何もできない。その点で太郎は、大枠のところで一緒だった。自分をよりよくしていきたいし、突き詰めていきたいし、フットサル界をよくしていきたい。それに何よりも、よりよくするためには勝たなければいけないし、プロに進んでいかないといけないというマインド。その考えがすべて合っていた。僕はどちらかというと細かいところを話すんですけど、太郎はしっかりと大筋や本質的なところを話せる。そういうところも含めて、お互いに助けになっているのかなと。
──2人は、性格的にも似ているんですか?
荒牧 似ているところと似てないところがあるなと。考え方は似ているけどアプローチが違うかも。
星 タイプは違うし、伝え方が違うよね。僕の方がより細かいところで、太郎は全体のところ。僕は目の前の相手を見てまずこうしないといけないとか、相手がこうなったらこうしないといけないとか、裏を取ろうとして相手が付いてきたから止まるよねってところ。でも太郎はもっと、ポジショニングの話をするとかね。
荒牧 そこはまあ、ポジションが違うからね。ゴレイロからボールをもらって、前線でフェイクしているからっていきなりそこに出せるわけじゃない。その翔太の動きを見て、タイミングを見て出さないといけない。前でいろいろやっていても、いや後ろでもまだいろいろやっているからってことがあるし。でも、いろいろやりすぎて大事なものを見失っているなら、シンプルに攻撃方向を見ようとかね。
──その意味では、ポジションは性格による適正があったりしますか?
荒牧 そうかも。でも、それこそブラジルに行って、最初にバカみたいに振る舞うのが僕で、それを見ていて、あいつは嫌なやつかもしれないなとか、こいつはいいやつだなとかをちゃんと見極めて、そういう人と関係を築いていくのが翔太。その辺の性格も違う。
──荒牧さんはピッチでは後ろから見たり、まとめるのが得意ですよね。
荒牧 その印象からすると、ノリでバカみたいになる姿は想像できないですよね。でも、ピッチの中と外では全然違う。飲み会とかでは、圧倒的に翔太よりも前線の選手だから(笑)。
星 そうそう。
荒牧 そのとき翔太は、その場にいる偉い人ときちっと2人で話をしていたり。大人数でカラオケを歌っているのは僕。ピッチの中とはまるで逆ですね。
──2人はケンカとかはしないんですか?
荒牧 ケンカはないね。
星 ないね。冷静に話すよね。太郎がイライラしていたら「太郎、こういうふうに変えてみたら?」とか「盛り上げる系にしようよ」とか。太郎もそれで、冷静に返事をしてくれる。
荒牧 逆に翔太がハーフタイムとかにイライラしていたら、全く逆の意見を言ったりして。でも、それに対して何でだよってことを言われたことはないよね。