INSIDE OCEANS

“天才”西谷良介が経験した挫折と成長の過程。決して順風満帆ではなかったその道のり。

2020.06.19

インタビュー

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名古屋オーシャンズ

「フットサル界のアンドレス・イニエスタ」。名古屋オーシャンズの西谷良介はよくそう表現される。

ニックネームは、“パッシャン”。大学時代からそう呼ばれているらしいが、「パッシャン」がどういう意味なのかは本人も分からない。そのため、「よくパッシャンの意味を聞かれますが僕も分からないのでいつも困るんです」と苦笑いを浮かべる。

西谷曰く「恐らくお笑い芸人のパッション屋良から来ているのでは……」と推測する。ただ、パッションは名古屋オーシャンズで間違いなく一番だ。

誰よりもチームのことを考え、行動する西谷だが、若手時代は「試合の勝敗に関係なく、自分のプレーに納得すれば満足していた部分もありました。それは今思えばバカだったというか、幼稚だった……」と当時を振り返る。

1年目でフットサルは辞めようと思っていた


西谷がフットサルを始めたのは大学卒業後。それまではサッカーをプレーしていた。高校は和歌山県の強豪校・初芝橋本高校に進学。奈良県の自宅から片道2時間をかけて毎日電車で通っていた。

清水エスパルスやツエーゲン金沢、SC相模原などでプレーした辻尾真二も同級生で、彼らと共に全国大会出場を目指した。

「高校が山の中だったので走りの練習は大変でしたし、練習漬けで強く、厳しく揉まれた高校生活でした」

それでも、小学生のころから憧れだった国立の舞台に立つことをモチベーションにひたすら練習を積んだ。その結果、2年生のときに初芝橋本高校は全国高校サッカー選手権に和歌山県代表として出場。1回戦で敗れはしたものの、帝京高校とPK戦にもつれ込む接戦を繰り広げた。

3年生のときにも選手権に出場し、星稜高校にPK勝ちして準々決勝にまで進出した。そこで滝川第二高校にPK負けを喫してしまい、あと一歩のところで国立のピッチに立つことは叶わなかった。

高校卒業後は大阪体育大学へ進学。サッカー部でキャプテンも務め、関西選抜や日本学生選抜にも選ばれた。日本学生選抜では長友佑都や東口順昭らともプレーし、まさにエリート街道を歩んでいた。

しかし、日本学生選抜のメンバーのほとんどがJクラブに誘われる中、西谷には声がかからなかった。そのとき、大学の先輩だった原田浩平や須藤慎一に誘われ関西1部リーグのリンドバロッサでフットサルを始める。

2008年にデウソン神戸の選手としてFリーグデビューを果たすが、当時「フットサルはサッカーが小さくなったような感覚」と思っていた西谷は、日本トップリーグでのプレーに苦しんだ。

「正直、1年目で『フットサルは辞めよう』と思っていました。『続けるとしてももう1年かな』と……」

思い悩んでいた西谷はJリーガーになった大学の先輩に相談した。そこで、「不完全な思いで辞めたら必ず後悔が残る。やれるだけやって、挑戦した方がいいぞ!」と強めな答えが返ってきた。

西谷の両親も1年目でFリーガーを辞めると思っていたそうだが、幼いころからサッカー選手になるための環境づくりをしてくれたのは両親。「もう一度納得させたいし、もう一度応援してもらいたい。気持ちに応えたい」という想いからフットサルを続ける決心を固めた。

神戸で2年目のシーズンに比嘉リカルド氏が監督に就任したことも大きかった。彼からフットサルについてを学び、日本代表候補にも選ばれミゲル・ロドリゴ監督からも直接指導を受けた。

「いろいろなタイミングでフットサルを指導してくれた方と出会えたことが自分が大きく変われた一つなんじゃないかなと思います」

「辞めよう」と思っていた1年目から一転し、Fリーグ新人賞も受賞した。順調に階段を上っているように見えるが本人は「順風満帆とは言い難い」と否定する。

「2年目でなんとなく自信を掴んで代表にも呼ばれましたが、自分がやっているフットサルの感覚と指導してもらっているフットサルの感覚のすり合わせが全然できていなかった。何が正解かわからなくなって周りにぶち当たることもありました。自分のいろいろなストレスがフットサルになっているときもありました」

2012年のワールドカップに向けたメンバーがどんどん絞り込まれていく中、西谷もその内の一人として代表メンバーから外されてしまった。そこでも大きな壁にぶつかった。だが、その壁を乗り越えることがでさらなる自信をつけていった。

しかしそのころは自分ことで精一杯だったからか、チームのことを第一に考えず自分のパフォーマンスのことばかりに目を向けていた。だが、2013年にキャプテンに就任したことでそのマインドも少しずつ変わっていった。

そして、西谷が神戸で7シーズン目のときにフウガドールすみだからオファーが届く。

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