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名古屋オーシャンズ
星翔太が新しいチャレンジを始めた。8月7日のTwitterの投稿にはこう記されている。
求める人物像は、「18歳以上の大学生~24歳以下の大学院生」「何かやってみたい人」「何かを成し遂げたい気持ちがある人」など。何かやってみたい人──つまりどういうことだろうか?
星は常々、「アスリートの価値」を考えてきた。バルドラール浦安時代には、インターン生としてPR会社で働きながら、「プレイングワーカー」というデュアルキャリアの生き方を実践し、その一つの形態として、自ら起業して“競技でも社会人としても一流”を模索してきた。
そんな経験を、新時代を生きる若者へと還元しようということなのか? それが、星の考えるアスリートの価値を高めることにもつながるのか? コロナ時代を直視する星の脳内に迫る。
──8月7日に告知を始めた「わかものコミュニティ」とは何でしょうか?
コロナ禍の自粛によって選手の活動に制限があった期間にいろいろな方とオンラインで交流していたんです。「アスリートの価値って何だろう?」という意見交換ですね。その中で思ったのは、これから中心になっていく若い世代のアイデアを取り入れて何か形にしたいということでした。
──「何か形にしたい」をコミュニティで見つけるということですか?
若い子たちと交流したいという思いは、東京にいるときからありました。でも、名古屋に来て、愛知県や名古屋市のことを僕は全く知らなかったし、それを形にするイメージができなかったんですね。でも、コロナの影響もあってオンラインで議論できる機会が増えて学べたことがたくさんあったので、頭にあるものをまずは実行してみようというところですね。
──このインタビューも、名古屋にいながらリモートで行っていますし、オンラインで何かを始めることへのハードルはかなり下がったと思います。
そうですよね。「行動する」と言うと、これまでは外に出て動かなければいけないイメージでした。でも、外に出なくても自分の時間を使って形にすることができることに気づいたので、やろうと思った。実現に向けて(櫻井嘉人)GMやクラブのスタッフも含めて話をしました。櫻井さんから「まずはやってみて、やり切ったらどうだ」という後押しをもらえました。アジアナンバーワンのプロチームの名前をオープンにして活動できることもすごく大きいと考えています。
──クラブも絡めたプロジェクトなんですね。
そうです。チームにとってもメリットがあることなので協力を得られました。オーシャンズを通して学ぶこともできるし、いろいろなスポーツを通して社会を学ぶ機会が作れたらいいなと。
──どんな形にしていこうと考えていますか?
わかりやすい形の一つは、オーシャンズのホームゲームでクラブと一緒に何かを作るというものですね。学生インターンのように携わってもらうというのは実行に移しやすいと思います。
──オーシャンズから派生してスポーツ界を巻き込んでいくことも?
僕が関わりのあるスポーツの方や、ビジネスを手掛けている方にオンラインで関わってもらうことも考えています。「仕事って、そもそもどうやって成り立っているのか」とか「自分自身で仕事を作り、お金を稼ぐとはどういうことだろう」ということも知ってもらいたいですね。それと、「やりたいことだけやればいい」という明るい側面だけではないということも伝えたい。社会に出ると、泥臭い部分も絶対に必要になる。夢を見ているだけで夢に近づけるわけではない。このコミュニティを通して、一人の人間として成長する場にしていきたいですね。
──コミュニティに入れば何かを受けられるというものではない。
もちろんそうです。僕らが場を提供しますが、与えられたものに乗るというよりは、主体性を持って取り組んでほしい。「何かを作ろう」、「何かを考えよう」というアクションによって生まれたアイデアもそうだし、実行してみてうまくいかなかった成功体験も失敗体験も、そのすべてが次のステップへつながる重要な意味をもつものです。最初は漠然としたもので大丈夫です。「何かを変えたい」とか、「何をやりたいかを見つけたい」でもいい。モヤモヤしたものでもいいから、根底に原動力があることがすごく大事だと思っています。
──オンラインサロンのようなものではなく、無料のコミュニティですか?
そうです。お金をもらって運営することが目的ではないですからね。学生を相手に、むしろプロジェクトを収益化することを学ぶ場所にしたいと思っています。収益化するためには、交渉が必要だったり、そもそものお金の流れを知らなければいけなかったりもしますから。
──星選手の同世代ではなく、若者に対象を絞った理由は何でしょうか?
最初にも言いましたが、そもそも若者と交流するきっかけがなかったので。自分と同年代であれば、ビジネス界でもすぐにつながることができますけど、10歳以上も年齢が離れた若い人とつながれる人脈やコミュニティはなかなかない。それでいて、コロナによって学生も通常通り学校で活動できなかったり、社会人1年目を迎えるはずが思うようにいかなかったりしている。そういうモヤモヤしたエネルギーを何かの力に変換して具体化できるのではないかと思っています。
──現代の若い人に対してどんな印象をもっていますか? 自分のときとは違うなとか。
インターネットやスマホが普及して、情報過多で、自分から得ようとしなくても情報に手が届く世代ですよね。これまでは、情報を得ようと思ったらそれなりのアクションを起こさなくてはいけなかった。でも、何もしなくても情報をつかめる。つまり、無意識的にアクションを起こしているとも言えます。それに、発信や何かを作ることへのハードルがすごく低いと思うので、本人たちが自覚しているよりもずっと行動力があるのではないかと思っています。
──では、このプロジェクトの今後の展望を聞かせてください。
まずは学生たちと交流していくことで、いろいろなアイデアや活動もそうだし、お金のことやスポーツ業界を学び、社会を学んでいくことから始めたいですね。僕自身はもちろん、関わってくれるすべての人が一人の人間として成長することを目標にやっていきたいと思います。
──星選手は、30歳のときに大ケガを負ってしまった期間に、株式会社エードットでインターンを始めました。そこで得たものや感じたことはどんなものがありますか?
そもそも、一人では何もできないということを学びました。フットサルもチームスポーツですし、一人では何もできません。スポーツには一人が持つ価値がすごくあるなと感じています。自分自身が発信もできるし、自分自身のプレーでピッチに大きな影響をもたらせる。ただ、社会人として活動したときに、何のスキルもなかったし、そもそも何ができるのかも自分では分からなかった。「プロフットサル選手」、「フットサル日本代表」、今なら「名古屋オーシャンズの星翔太」とか、そういう肩書きがなくなった「星翔太」として何ができるのか。周囲の助けがないと仕事もできなかったし、ありのままの自分の現在地を知れたことが大きかったですね。
──最初は「社会人に必要なスキルを学びたい」という理由で始めたんですよね。
そうです。細かいですけど、ExcelやWordの使い方、電話のかけ方、名刺の渡し方。そういった社会人としての常識を身につけられたので、やってよかったとすごく思います。
──社会人としてのスキルを身につけるためにも「プレイングワーカー」がいい?
☆わかものコミュニティ作ります☆ 身動き取りづらい状況で何かをしたいなと考えた結果、『大事なのは行動だ』ということで、作ってみました。 一緒に何か考えたり、作ったり、形にしませんか?
求める人物像は、「18歳以上の大学生~24歳以下の大学院生」「何かやってみたい人」「何かを成し遂げたい気持ちがある人」など。何かやってみたい人──つまりどういうことだろうか?
星は常々、「アスリートの価値」を考えてきた。バルドラール浦安時代には、インターン生としてPR会社で働きながら、「プレイングワーカー」というデュアルキャリアの生き方を実践し、その一つの形態として、自ら起業して“競技でも社会人としても一流”を模索してきた。
そんな経験を、新時代を生きる若者へと還元しようということなのか? それが、星の考えるアスリートの価値を高めることにもつながるのか? コロナ時代を直視する星の脳内に迫る。
若い人は、本人が自覚するよりもずっと行動力がある
──8月7日に告知を始めた「わかものコミュニティ」とは何でしょうか?
コロナ禍の自粛によって選手の活動に制限があった期間にいろいろな方とオンラインで交流していたんです。「アスリートの価値って何だろう?」という意見交換ですね。その中で思ったのは、これから中心になっていく若い世代のアイデアを取り入れて何か形にしたいということでした。
──「何か形にしたい」をコミュニティで見つけるということですか?
若い子たちと交流したいという思いは、東京にいるときからありました。でも、名古屋に来て、愛知県や名古屋市のことを僕は全く知らなかったし、それを形にするイメージができなかったんですね。でも、コロナの影響もあってオンラインで議論できる機会が増えて学べたことがたくさんあったので、頭にあるものをまずは実行してみようというところですね。
──このインタビューも、名古屋にいながらリモートで行っていますし、オンラインで何かを始めることへのハードルはかなり下がったと思います。
そうですよね。「行動する」と言うと、これまでは外に出て動かなければいけないイメージでした。でも、外に出なくても自分の時間を使って形にすることができることに気づいたので、やろうと思った。実現に向けて(櫻井嘉人)GMやクラブのスタッフも含めて話をしました。櫻井さんから「まずはやってみて、やり切ったらどうだ」という後押しをもらえました。アジアナンバーワンのプロチームの名前をオープンにして活動できることもすごく大きいと考えています。
──クラブも絡めたプロジェクトなんですね。
そうです。チームにとってもメリットがあることなので協力を得られました。オーシャンズを通して学ぶこともできるし、いろいろなスポーツを通して社会を学ぶ機会が作れたらいいなと。
──どんな形にしていこうと考えていますか?
わかりやすい形の一つは、オーシャンズのホームゲームでクラブと一緒に何かを作るというものですね。学生インターンのように携わってもらうというのは実行に移しやすいと思います。
──オーシャンズから派生してスポーツ界を巻き込んでいくことも?
僕が関わりのあるスポーツの方や、ビジネスを手掛けている方にオンラインで関わってもらうことも考えています。「仕事って、そもそもどうやって成り立っているのか」とか「自分自身で仕事を作り、お金を稼ぐとはどういうことだろう」ということも知ってもらいたいですね。それと、「やりたいことだけやればいい」という明るい側面だけではないということも伝えたい。社会に出ると、泥臭い部分も絶対に必要になる。夢を見ているだけで夢に近づけるわけではない。このコミュニティを通して、一人の人間として成長する場にしていきたいですね。
──コミュニティに入れば何かを受けられるというものではない。
もちろんそうです。僕らが場を提供しますが、与えられたものに乗るというよりは、主体性を持って取り組んでほしい。「何かを作ろう」、「何かを考えよう」というアクションによって生まれたアイデアもそうだし、実行してみてうまくいかなかった成功体験も失敗体験も、そのすべてが次のステップへつながる重要な意味をもつものです。最初は漠然としたもので大丈夫です。「何かを変えたい」とか、「何をやりたいかを見つけたい」でもいい。モヤモヤしたものでもいいから、根底に原動力があることがすごく大事だと思っています。
──オンラインサロンのようなものではなく、無料のコミュニティですか?
そうです。お金をもらって運営することが目的ではないですからね。学生を相手に、むしろプロジェクトを収益化することを学ぶ場所にしたいと思っています。収益化するためには、交渉が必要だったり、そもそものお金の流れを知らなければいけなかったりもしますから。
──星選手の同世代ではなく、若者に対象を絞った理由は何でしょうか?
最初にも言いましたが、そもそも若者と交流するきっかけがなかったので。自分と同年代であれば、ビジネス界でもすぐにつながることができますけど、10歳以上も年齢が離れた若い人とつながれる人脈やコミュニティはなかなかない。それでいて、コロナによって学生も通常通り学校で活動できなかったり、社会人1年目を迎えるはずが思うようにいかなかったりしている。そういうモヤモヤしたエネルギーを何かの力に変換して具体化できるのではないかと思っています。
──現代の若い人に対してどんな印象をもっていますか? 自分のときとは違うなとか。
インターネットやスマホが普及して、情報過多で、自分から得ようとしなくても情報に手が届く世代ですよね。これまでは、情報を得ようと思ったらそれなりのアクションを起こさなくてはいけなかった。でも、何もしなくても情報をつかめる。つまり、無意識的にアクションを起こしているとも言えます。それに、発信や何かを作ることへのハードルがすごく低いと思うので、本人たちが自覚しているよりもずっと行動力があるのではないかと思っています。
──では、このプロジェクトの今後の展望を聞かせてください。
まずは学生たちと交流していくことで、いろいろなアイデアや活動もそうだし、お金のことやスポーツ業界を学び、社会を学んでいくことから始めたいですね。僕自身はもちろん、関わってくれるすべての人が一人の人間として成長することを目標にやっていきたいと思います。
努力が結果につながることを、僕らは知っている
──星選手は、30歳のときに大ケガを負ってしまった期間に、株式会社エードットでインターンを始めました。そこで得たものや感じたことはどんなものがありますか?
そもそも、一人では何もできないということを学びました。フットサルもチームスポーツですし、一人では何もできません。スポーツには一人が持つ価値がすごくあるなと感じています。自分自身が発信もできるし、自分自身のプレーでピッチに大きな影響をもたらせる。ただ、社会人として活動したときに、何のスキルもなかったし、そもそも何ができるのかも自分では分からなかった。「プロフットサル選手」、「フットサル日本代表」、今なら「名古屋オーシャンズの星翔太」とか、そういう肩書きがなくなった「星翔太」として何ができるのか。周囲の助けがないと仕事もできなかったし、ありのままの自分の現在地を知れたことが大きかったですね。
──最初は「社会人に必要なスキルを学びたい」という理由で始めたんですよね。
そうです。細かいですけど、ExcelやWordの使い方、電話のかけ方、名刺の渡し方。そういった社会人としての常識を身につけられたので、やってよかったとすごく思います。
──社会人としてのスキルを身につけるためにも「プレイングワーカー」がいい?
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