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【1万字インタビュー】星龍太が語るオーシャンズの過去、現在、未来。「僕らがやるべきことは、フットサルだけじゃない」

2019.07.02

インタビュー

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名古屋オーシャンズ


「『フットサルだから楽しめるもの』を提供していく」



──オーシャンズとしては常に「リーグ王者として」といった何かを背負っていると思います。日本フットサルを盛り上げていくために、名古屋、愛知を盛り上げていくために、オーシャンズがこの先の10年で取り組んでいくこと、目指していくこともあるのではないでしょうか?

たくさんあると思いますし、できることはピッチの中にも外にもあるのかなと。たとえば集客面。唯一のプロである僕たちが、集客でも、盛り上がりでも、日本代表を輩出するということでも、一番のチームでなければいけません。周りのチームが「オーシャンズを真似する」というふうになっていけたらいいですよね。

言い訳しないで勝つことが必要なのは言うまでもないことですが、だからと言って、全勝優勝なんて、トップリーグのスポーツでは基本的にはできません。昨シーズンは一度も負けることなくリーグ戦を終えましたが、それはみんなが頑張った結果であり、運もあったと思います。そういう意味では、ある程度の結果ということは出せているからこそ、それ以外の部分にも目を向けるべきだと思っています。そういうことの一つが今、強化を図っているSNSです。そこは僕らももっと取り組んでいくべきかもしれないですね。

──選手がPRできれば、それが一番の効果を生みますよね。

そうだと思います。だからオーシャンズとして、最初にやるべきことは結果を出すこと。加えて、チーム全体として集客を上げていくこと。そのためにSNSといった手段を強化していくこと。他にもいろんなことができると思いますから、「選手だから」といって何もしないのではなく、クラブと積極的にかかわっていく姿勢も必要なのかなと思っています。やらないよりやった方がいいですし、失敗したら反省して、そこで学んだことを違うことに生かせばいい。SNSの強化も初めての取り組みですし、もちろんうまくいっていること、いっていないことがあります。このインサイド・オーシャンズというサイトにしても、有料サイトとして会員数を伸ばせるかどうかという課題はきっと、常にありますよね。そうしたら現状を分析して、何かに取り組んでいかないといけない。そうやって、アクションを起こしていくことが大切だと思っています。



──「オーシャンズの象徴」の一人となった星龍太選手はこの先、ピッチ内外でどこを目指しますか?

僕たちにできることは、まだまだたくさんあると思っています。オーシャンズは、(2015シーズンに)9連覇を達成して、(2019シーズンのリーグ開幕前のカップ戦のタイトルで)通算30冠に到達しました。Fリーグというトップリーグを戦っていて、これほどの成績を収めている状況は、他のスポーツではなかなかないと思います。先日「あいちフットボールフレンズ」が発足しましたが、まずは地元の9割くらいの人たちにオーシャンズを知ってもらえるように。愛知の人が知らないものを、全国の人が知るわけはないですよね。だからこそ、この地域で知名度を高めていく活動が非常に大事だと思っています。

ただそこに関しては、「プロ選手」だからこそ逆に、個人ではできないこともあります。やはり立場をきちんと踏まえた振る舞いが必要になってきますからね。その意味では、クラブと連携して地域貢献に取り組んだり、知名度を上げていく活動をしたりしていくことが必要です。プロ選手としては、チームが企画したものに対して、うまく使ってもらうということは大切だと思います。毎日、毎週の活動だとコンディションに影響してしまいますが、隔週で1回、2、3人が行動していくようなやり方は十分に可能だと思います。

正直なところ、愛知県の人であっても、知らない人が多いと思います。まずは地元に愛されるチームになりたいですよね。僕個人としては、そのための活動はどんどん増やしていってほしいと感じています。名古屋グランパスさんやNGUラブリッジ名古屋さんといった男女のサッカーはもちろんのこと、ユニアオレディースさんやその他の競技のプロクラブとも関わり合いを増やしていけたらいいですね。そういうことをしていきたいです。

──グランパスは、ものすごい集客力で観客動員を伸ばしていますよね。

本当にすごいですよね。フットサルとはやはり、規模感が違いますね。ただし、ある程度のところには近づけるのではないかと思っています。同じフットボールファミリーですし、(豊田と名古屋で)距離は離れていますが、両方のチームを応援してくださっている人もいます。試合日も基本的には異なることが多いので、フットサルを知らない方に来てもらうこともできると思います。本分であるプレーで結果を出すことを大事にしながらも、できる限り、そういった取り組みにもかかわっていきたいと考えています。

──グランパスは、プレー面でも「何が起きるかわからないサッカー」でワクワクを提供しています。

スタジアムに行くと、本当に非日常を味わえますよね。応援のウェーブなんかもすごいです。でも、上の方の席から見ると、フィールドの選手は小さいし、オーシャンアリーナのような近さは味わえないと思います。それでもどうしてお客さんが来るのかというと、「選手が好き」、「会場の雰囲気が好き」、「何歳になっても大声で叫べる」とか、いろんな楽しみ方を持っているからです。フットサルでも、オーシャンアリーナに来たら何を味わい、楽しめるのかというものを提供できないといけないですよね。

もちろん、サッカーは長い歴史のなかで築き上げてきたものもありますし、競技特有の雰囲気もあると思います。まだ13年のリーグの歴史しかない僕たちがそれを真似することはできないですが、何かにトライしないと、時間だけが過ぎていってしまいます。「フットサルだから楽しめるもの」を提供したいですね。

そこについては先ほどから何度も話していますが、選手目線と、クラブや(集客力を高められる)専門家の意見なども取り入れながら取り組んで、変わっていかなければいけません。僕自身、オーシャンアリーナをもっと満員にできるように、できる限りのことに向き合っていきます。毎試合ソールドアウトで、立ち見が出てしまうくらいの雰囲気のある空間を作り出していくことを目指していきたいです。
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