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【1万字インタビュー】星龍太が語るオーシャンズの過去、現在、未来。「僕らがやるべきことは、フットサルだけじゃない」

2019.07.02

インタビュー

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名古屋オーシャンズ


「オーシャンズの監督は、必ず先頭に立ってくれる」



──今までアジウ監督、ビクトル・アコスタ監督、ペドロ・コスタ監督、フエンテス監督というプロ監督の下でプレーしてきました。アマチュアチームの監督との違いを感じていますか?

たとえばフウガは監督がクラブのフロントに入っていますから、ケースは異なると思います。アマチュアチームは、成績不振で退任することは基本的にはないですよね。オーシャンズに来て思ったのは、監督も選手と同じで、結果を出さなければクビになるということ。仮に3年契約だったとしても、1年で終わってしまうこともありますし、逆にいい成績を残して5年契約になることもあります。

だから、ここぞという場面で信頼するメンバーを長く使うとか、引き分けの状況からパワープレーの勝負に出るとか、自分の進退を賭けて戦術を決めて、メンバーを起用しているわけです。使われる選手はそれに応えないといけない気持ちもありますし、それが選手自身にも影響してきます。

たとえば、2018年のAFCクラブ選手権で、コスタは引き分けの状況でパワープレーを選んでやられてしまいました。僕はピッチに立っていなくて、「何でやるんだろう?」と思っていました。だけど、コスタにはコスタなりの自信があって、プロとして勝負して、失敗して、その責任を負いました。

コスタは、そういう決断を全うし続けた監督なので、本当にすごいと思います。他の競技のプロチームのことは詳しくは知らないですが、それがオーシャンズなのかなと思います。

──ペドロ・コスタ前監督は「俺の責任だ」と話していたのですか?

何よりも最初に「選手は頑張ってくれた」と言ってくれました。負けたとき、勝負を仕掛けてダメだったときはいつでも「自分の責任です。選手は素晴らしかった」と話してくれていました。もちろん、本当に選手がよくないときはものすごく怒られますけど、自分たちがやるべきことをした上で、相手に上回られてしまったときは、必ず先頭に立ってくれる。それがオーシャンズのプロ監督の姿です。

──気がつけば“ペーペー時代”は終わっていました。どのように立場を上げていったのでしょうか?

それは3段階くらいあります。加入当初と、戻ってきた頃は、まだまだ。その次のシーズンから少しずつ出場機会が増えていき、メンバーが変わりゆくなかで残れているということもあって、中堅になっていきました。時期を明確に分けるとするならば、やはりキャプテンになった2016シーズンから、僕はベテランの立場になったのだと思っています。フットサルでは、もう少し上の年齢の選手がベテランと呼ばれますが、引っ張っていく選手がいなかったこともあって、自分がやらなければいけない、と。

周囲のベテラン選手にプレーもメンタルも引き上げてもらっていたところから移り変わって、最年長は酒井でしたが、その下はもう僕や安藤(良平)。意識の変化は大きかったですね。



──当時は「引っ張ること」がキャプテンの仕事だと感じていたのですか?

そうですね。1年目は引っ張っていくキャプテン像を思い描きながら取り組んで、うまくいきませんでした。人間的にも、プレーでも成長できましたが、そのキャプテン像というのは、自分の性格やプレースタイルに合っていなかったことを感じた1年目でしたね。

──今は「一体感」や「ファミリー感」を重視しています。その姿はオーシャンズの理想的なキャプテン像でもあると思いますか?

どうですかね……。その時々のメンバーによっても変わると思います。「こういうキャプテンになる」というのは、自分でつかみ取っていくものです。僕の場合は、結果的に最初は悪い方向にいってしまいましたが、それが成長できたキッカケでもあります。今はもう、プラスに捉えていますね。

もちろん、オーシャンズは結果を出さないといけないチームです。でも、僕はまだ32年しか生きていないですが、失敗を経験して成長することがあるものだと感じています。成功し続ける人なんていませんから。

──仮に、次のキャプテンに対しても、失敗が糧になると伝えますか?

もちろん「結果を出せなければいけない」と言われると思います。でもチームスポーツですから、助け合うなかで失敗と成功を積み重ねていけたらいいのかなと。キャプテンの決め方があるわけじゃないのでわからないですが、もし「キャプテンをやりたい」という選手がいたら、僕は進んで副キャプテンに名乗り出ます。

それに、チームとしてキャプテンに推したい選手がいたら、副キャプテンとして1年間の“試用期間”を設けたら、失敗も少なくできるのかなと思います。今は時代も移り変わってきて、トップダウンで上からモノを言うような方法が機能しないことも多くなりました。そういうことを僕自身が身をもって経験してきたので、一緒に歩んでいくスタイルがいいのかなと、僕は思っています。

 

【次ページ】 「10年後、もっとピリピリした空気になっているかも」


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