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【1万字インタビュー】星龍太が語るオーシャンズの過去、現在、未来。「僕らがやるべきことは、フットサルだけじゃない」

2019.07.02

インタビュー

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名古屋オーシャンズ


「10年後、もっとピリピリした空気になっているかも」



──オーシャンズは昔から「超個性派」の集まりでもありましたが、今は「チームのために戦える選手」が集まっています。鶏が先か卵が先かではないですが、「一体感」を目指すチームだったからそういう選手がそろってきたのか、そういう選手がいたからファミリーのようなチームになっていったのか、どちらでしょうか?

どうですかね(笑)。キャプテンになった1年目、個人的にはあの失敗の経験があって今の自分があります。自分に必要なものが何かをずっと考えていました。そこで、「必要だけど自分の性格に合っていないから不要なもの」もわかりました。その過程で、なるべくして今のチームになった。

僕がスタイルを変えたこともありますし、若い選手に尖ったものが少ないことも理由かもしれないですね。ピッチで野心を見せることがあっても、それが私生活に影響する人はいません。「一人が好きだから俺に構わないでくれ」という選手が少ないことと、僕のスタイルがマッチして、こういうファミリー感のあるチームになったのかなと思います。

また来年、どのように変化するかはわからないですし、僕がキャプテンをしているかもわかりません。その都度、積み重ねて築いていかないといけません。でも、入れ替わりが多かった頃から比べると、今はそれが少ないということも、チームの雰囲気には影響しているのだと思います。

──時代とともに、チームも変化していく。

そうですね。ただし、チームスポーツですから、選手一人に合わせるのではなく、みんながいい方向に向かっていけることが大切です。白黒はっきりとモノを言うのではなく、“グレー”を設けることで、みんなが歩み寄れる場所を確保しておくこと。そうするといい空間になっていくと思っています。

──今の質問と少し似ていますが、今シーズンはフエンテス監督が就任して、前任のペドロ・コスタ監督と星龍太選手を中心に築いてきたチームから進化していく年です。Fリーグ選抜から若い選手も加わりましたが、これから進んでいく道は、どういう方向にあると感じていますか?

フエンテス監督は、経験や正確性を求める人です。正直なところ、監督のスタイルによってチームが変わっていく部分は間違いなくあると感じています。だからこそ、若い選手は今まで以上に頑張らないといけないシーズンですね。監督も1年目ということで何よりも結果を出したいですから、不確定要素のある若手を使う機会は少なくなると思います。

そういった意味では、以前のオーシャンズに近づくようにも思います。主力メンバーを7、8人にして、そこに2人から4人くらいが絡んでいく形が増えています。そこはアジウやビクトルと似ていますね。私生活でも、今は若手とベテランの距離が開いているような関係性が少なからずあるので、そこはオフのときにコミュニケーションをしっかり取っていきたいと思っています。

それと、この先のことはわからないですが、もしも負けたりして若手が全く出られないような状況になってしまったら大変だと思います。若手選手のフラストレーションも敏感に感じていく必要がありますね。

──星龍太選手にとっては酷な話かもしれないですが、2016シーズンに達成するはずだった10連覇は、クラブとしても一つの到達点になるはずでした。仮にこの先、また10連覇のチャンスが訪れるのは最短で2027年です。そのときのオーシャンズはどんなチームになっているか予想できますか?

そもそも、リーグがどのようになっているかという部分からですよね。チーム数の増減があるのかとか。予想するのは本当に難しいですが、もう少し、チームの均等化が進んでいるのではないかと思います。

ですが、上位と下位の差は開いているような気がします。終盤に7位以下のチームはプレーオフに入れないくらいの勝ち点がついているような。上位チームとしては、勝つことが難しくなっていると思います。

10年後、今と同じような結果が待っているとは言い切れないですし、オーシャンズ出身の選手が、他のチームで主力になっているかもしれません。オーシャンズでは契約満了になってしまったけれど、そこで引退を決めるのではなく、違うチームで経験を伝える選手も出てきているのかなと。

そうしたところで、チームが活性化していって均等化が図られるのではないかなと思っています。オーシャンズも今の若手選手が主体になっていくわけですから、そういう意味で僕の予想は「10連覇できるのか?」ですね(笑)。使命感はもちろんあります。でも、今以上に勝つことが簡単ではなくなるはずです。

──雰囲気も全く異なるチームになっているかもしれないですね。

そのときの監督のスタイルにもよりますけど、もっとピリピリしている可能性はありますし、もしかしたら、オーシャンズを引退した選手が監督になっているかもしれないですよね。(10連覇することは)相当キツイと思うので、「頑張れよ」って思います(笑)。

──そのとき、星選手もクラブのレジェンドとしてプレーしているのでは?

いや、きっとそんなことはないですよ(笑)。オーシャンズは、長く残れても35歳前後ではないかと思います。酒井が36歳で(引退して)、コスタがもう少し上の37歳でしたけど、それくらいの年齢がこのチームの限界なのかなと。それは仕方がないことで、勝つためには体も万全で、なおかつ経験のある人を獲得することが、あるべき姿です。もちろん、プロチームが増えれば状況も変わってくると思いますけどね。

 

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